鈍足

長めのひとり旅を終えて

今再び新幹線の車内

 

生真面目に各駅に停車する

この鈍足の車内の中で

自分は今何を考えているのだろうか.

 

 

 

僕がこれから貫いていきたい精神に対して

 

自分という存在が

如何にちっぽけであるのかを

 

暴力的に

そして支配的に

 

感じざるを得ない数日間だったように思う.

 

 

思えば

ただ頭に浮かびあがった物事に想いを馳せるためだけに

これ程じっくりと時間をかけていられたことは

長い間なかったかもしれない.

 

 

 

生き抜くとはどういうことだろう

 

眠気も甚だしく布団に潜り込んでいるにも関わらず

何時間も寝付けない夜を過ごしたことは

これもまた何ヶ月もないことだった.

 

 

12階のホテルの一室で

眠れない夜に思う

 

僕は確実に死に向かいゆく存在であること

 

このまま死んでいくことを思い

不安でたまらなくなった.

 

 

自分の生活と意欲と欲望とを制御し

規則正しく慎ましく生きること

 

それは素晴らしいことであるけれど

 

きっと僕は中途半端なのだろう

 

そこに幸いを見出そうとしても

色濃く靄が眼前を覆っているだけ.

 

 

ひとの幸いを願うことで

 

幸いを見つけることができるような気がした

 

でも僕は

自分が思っていた以上に

 

力及ばない存在なのだろう.

 

 

身を支え

時には手を差し伸べたい人たちに対して僕ができることといえば

 

戸惑いながら頷きながら

ただ後ろをついていくことだけ.

 

 

 

何ヶ月にもわたる鍛錬と

習慣にまで高めた生活習慣と

慎ましく有機的な食生活との先に

 

僕は肉体の上では

過去の自分の比にならないほど

確かな強さを手に入れつつある.

 

 

 

体を鍛えることの先に

精神が鍛えられることがあろうと信じていて

 

実際に心の持ち用の上では

 

依然の自分とはまるで違う考え方をするようになった.

 

 

しかし

それが全て歓迎すべき変化であるかどうか.

 

 

そうではないような気がする.

 

 

自信とか虚勢とか

興味とか意欲とか無謀とか不満とか

 

 

感情を失っている自分だから

 

物語の世界への自己同一化が容易になっているのかもしれない.

 

自分で自分の感情を

見つけ出せないことが増えた.

 

ただ当惑と

それから無が訪れるだけの経験

 

僕には死を痛感する瞬間が必要なのではないだろうか.

そんなことを思う.

 

 

 

今回の旅の中で

2本の舞台を鑑賞した.

 

舞台の上の役者たちを見ていて

この人たちは

生きている人たちなのだと思った.

 

 

もちろん

舞台の上のような感情の表現を繰り返している人なんて

万にひとりもいないだろうけれど

 

それが例え他の誰かの感情であったとしても

 

体いっぱいに伝えられる彼らを羨ましく思った.

 

 

 

自分が生きる意欲は

果たしてどこから湧き上がってくるものなのだろう.

 

見出すことができないままに

今にも1年を過ごそうとしている.

 

 

 

人は誰かに求められることで

自分の意義を実感できるということだ

 

 

僕が求めているものも

それに通ずるところがあるのかもしれない.

 

 

 

ただ

自己変革が必要だ.

 

 

行動習慣を変えることを通して身についてきた考え方を

実行できるだけの力を持つ人に.

 

また

血液をめぐらす先を決めること.

 

 

 

ああ

まともな文章すら書けないでいる.

 

 

 

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