次の街へ

思い返すと2024年の4月はKing's Crossから始まった

 

その日は過ごしやすい曇りの1日で、ハリポタファンの僕は9 3/4番線に興奮し、歴史あるロンドンの図書館を見物したのち、寿司弁当を食べてからパリに向かう電車に乗り込んだのだった。

 

パリでは翌日からの2日間を丸々観光に費やし、行きたかったランドマークは全て見て回ることができた

 

懐かしい友人とも会い、人の縁の大切さを感じ、やはり人生は移動と出会いで構成されているのだという考えを確たるものとした。

 

 

この3月と4月は仕事を休み、大学を卒業してから初めての長期休暇を取っていた

 

大学時代はコロナの影響で卒業旅行もできず、また正式就職前からインターンとして働いていたから、その時の春休みを今になって取り戻したような気分だった。

 

今回の春休みを振り返ってみると、たっぷりと時間があるようでいて、やるべきことも幾らかあり、流されるように時を過ごした日々だったと言える

 

2度の大きな旅行をした

1度目は瀬戸内海と四国を回り、2度目はロンドンとパリに行った

 

引越しをする必要もあり、何度も新しい街を訪れなければならなかった

物件を見て回り、契約、荷造り、荷解きと、やはり引越しは多大なる労力を必要とするものだと再確認した

 

自分の知識を広げたくて、検定試験を受験した

3月の初めはその勉強にほとんどの時間を費やした

 

ただそんなイベントの多い日々の中でも、帰省をしたり、親族を訪ねたり、友人と会ったり、楽しく過ごせた時間は嬉しかった。

 

 

それは移動の多い2ヶ月間だった

移動が多いからこそ、たくさんの人や街と出会い、自分がどう生きていきたいのかを考え直す時間になった

 

 

ロンドンでの生活はまるで夢のようなものだった 

どこにいても見渡すだけで口角の上がるような"あの"街並みと空気感

すっと夢見ていた街で、現地の方の部屋を間借りすることで、ロンドンに住む生活を体験できたような気がした

 

小学生の時から憧れていたヒーロー、シャーロックホームズの館を訪れたり、劇場でミュージカルを観て学生の頃の念願を果たしたり、人生の喜怒哀楽を共にしてきたフットボールクラブの試合を生で観戦したり

 

こんなに幸せな1週間はまたとないだろう

たくさんの夢を叶えた滞在だった。

 

 

僕はこれまで純粋に自分の楽しみのために時間や金を費やすことをしてこなかった

 

なんとなく日々優秀であるために生き、より改善された自分のために生活していたけれど、それが果たしてどこに向かうのかを見出せていなかった

 

しかしこの春休みの2ヶ月間、さまざまな経験をする中で、自分は何のために生きるのか、何のために仕事をし、金を稼ぎ、自分を改善し、歳をとっていくのか

その目的のひとつを理解することができた

 

僕は感動するために生きるのだ

 

夢を夢で終わらせないこと

大きな夢も、小さな夢も、日々生活する中で、叶えてみたい欲望の対象に出会うことがある

 

そんな夢を叶えた時の喜びは一入

感動に心を振るわせ、幸せな気持ちで体が満たされる

 

そんな瞬間をたくさん経験するために生きるのだ

 

 

夢を夢で終わらせないと

ひとつひとつの夢を叶え、そして次の夢に対する欲を宿しながら生きていきたい。

 

そのためには、まずは移動して人と出会うこと

そして身構えずいろんなことを経験してみて、新しい欲を獲得すること

 

経験の範囲でしか欲を持つことはできない

そして得られる経験の範囲は移動距離と関わる人の量で規定されるものだから

 

狭い生息圏に閉じ籠らないこと

フィルターバブルに囚われないこと。

 

 

4月は"またね"の多い季節だった

離れていても繋がっている、けれど地理的に離れることはやはり関係が離れることなのだ

 

一緒に過ごしてくれた人たちの温かさ、その人たちとの交流がいかに自分を支えてくれていたのかを今になって実感する

 

しかし変化は止められず、7年間過ごした街を発つ

大学時代から20代の前半をこの街で過ごした

若者として、かけがえのない思い出を得た

 

そして5月からは新しい街で新しい生活が始まる

 

人生は全くキャンベルの英雄の旅のようだ

或いはRPGをプレイしているかのよう

 

さぁ、次の街へ行こう、RPGの主人公のように

新たな街での新たなクエストを求めて

そうして新しい人々と出会い、自身の経験を広げ、その繰り返しの中で目的を希求することを通じて、感動に満ちたストーリーを完遂するのだ。