ボールは友達

何に影響されたのかは

火を見るより明らかだが

 

無性にボールが蹴りたくなって

夕日も暮れかけていたけれど

 

公園でひとりボールと戯れていた.

 

 

特別何かをしたわけではないし

最後に脚を使ってボールに触れたのは

おそらく1年近く前だろうから

思うようにいかない事も多々

 

すぐにあたりが暗くなってしまい

たった20分程しか遊んでいられなかったけれど

 

それでも

心落ち着き余計な強張りが抜けていく.

 

楽しさ

安心感

 

リラックスしながら

そんな感情を

純粋に抱くことのできた時間だった.

 

 

1年ほどのブランクがあって

最初はなかなか

ボールが足に付かなかったけれど

 

時間をかけるにつれて

ゆっくりとしかし確実に

足先に馴染んでいく実感

 

 

美味そうに葉巻を吸う人みたいに

じっくりと幸福感で体を満たした.

 

 

不思議なもので

ボールを蹴っていると自ずから

新しいことに挑戦したくなる.

 

新たな足技やドリブルの姿勢

終ぞ成し得なかったリフティングスキル

 

ちょっと心を休めよう

そんな気持ちで始めたはずなのに

 

いつのまにか半ば練習になっている.

 

意識的な転換ではない

 

ただ気がつくと

もっと上手くやるにはどうしたらいいかと

頭の中で考えている

違う体使いを試している 

 

週末に

試合が待ち受けているわけでもないのに.

 

 

楽しいから上手くなりたい

 

動機はいつだって単純だ

 

好きこそ物の上手なれと言うけれど

万に通ずる心がけだと思う.

 

 

家の中で

ひとりで過ごしている時間が増えて

 

楽しみを見出すことが難しくなっていた

また孤独を感じることが増えた.

 

 

でも考えてみれば

 

僕は人生のおよそ55%の日々を

サッカーをプレーすることを中心に過ごし

およそ70%の日々を

サッカーのファンとして過ごしてきたのだ

 

ただボールを蹴っているだけで

体は喜びで満たされる.

 

 

 

きっと今

楽しんで喋る機会もなく

 

自分はあまりにも

ひとりでいる自分の有り様を

意識してしまっているのだろう.

 

 

22歳にもなろうかという今

 

サッカーボールを脇に抱え

ひとり公園に赴き

ボールとの戯れに没頭している瞬間に

 

ボールは友達

 

その言葉の意味を

一段深く理解できたような気がした. 

 

 

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