迷い込む

徹底して不必要なものを排除してみた結果

スマホを触っている時間が増えている

 

僕らはいつのまにか

4次元ポケットを手に入れていたのかもしれない

 

無限のように広がる世界を包含しているこのデバイス

僕らの消費欲求が突き当たる底を

どこか入口のない次元へと隠す

 

逃れる術は果たしてどこにあるのだろう.

 

 

 

さまざまな理由から

家にいては集中できなくなってしまったから

 

昼間

何処か行ったことのないカフェにて

作業をしようと家を出た

 

少し遠出をしようと自転車に乗り

方角のあては付いていると思っていたから

 

特に地図も確認することなく漕ぎ始めた.

 

 

乾いた秋の風が気分を落ち着かせてくれる中

気がつけば

永遠に続くのではないかと思えるほどの

長く直線的な堤防にいる自分を発見した.

 

もちろん

意図していた道を通れていないことは確かであるどころか

目的としていた方角とは

全く別の方向へと進んでいたのである

 

しかし

そのようにして迷い込んだ

終わりの見えない一本道は

 

心に巣食う数々の雑念を取り払い

ただ前だけを見て進む心持ちを授けてくれた.

 

 

そこにはただ直線的な道だけがあった

 

大阪にいるとは全く思えない.

 

 

両端には背の高い秋の雑草が生い茂り

見下ろせば流れる川が続いている

 

そこにはただ直線的な道だけがあり

前に進む以外には

何ひとつ選択できることがない.

 

 

僕はただ

ひんやりとした秋の風を感じ

香る雑草の命を知り

眼前に広がる空に自然を望みながら

 

ただ自転車に乗って走り抜けていた.

 

 

迷い込んだ世界は

明るく彼方に開けていた.

 

 

僕が生きていたいのは

この情景なのだと思った.

 

 

また再び迷い込めるように

囚われるものなく過ごしていたい.

 

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