潮干狩り

夏休み

 

大学に学部の4年間通うはずの僕にとっては

大学生活最後の夏休みだ

 

然し長いはずのそれもいつの間にか

あとたった半分しかない

 

 

何もしていない日々の中で

驚くほど残酷に

時間は確実に刻まれている

 

 

僕は時間とそれに付随する

あらゆるものを失っているのである.

 

 

 

満たすには

とにかく

 

失う以上に得ている感覚を求めなければならない

 

 

簡単そうに見えるけれど

 

何年も何年も

この果てしない戦いに

勝てたと思える日は殆ど無い.

 

 

 

 

欲はなく

足るを知り生きることは

 

この上なく険しい道の先にある

ほんの少しの幸いであろう

 

僕はまだ

そんな境地に達することはできないでいる.

 

だからこそ

常の如くこうして失った日々を嘆きながら

 

予定されているものの少なさに

身を捩るのである.

 

 

 

 

ならばひとまず毎年の如く

夏休みのうちにやりたいことを

思いつく限り書き留めて

 

そしてそれらに従って生きてみようと思う.

 

 

昨年も一昨年も

そうした指針を作っては

 

達成できていたのか覚えてないくらいの終わり方を迎えている

 

 

今年

少し変化した僕は

どれだけリストを実現できるのだろうか.

 

 

 

ただ問題がひとつ

 

何よりも難しいのは

リストを超えていくことではなくて

 

リストを作るという行為そのものであるようだ.

 

 

以前は沢山のやりたいことがあったからこそ

絞り切ることができなくて

達成することができなくて

 

十二分に時を満たせたような感覚が

希薄になってしまったのだろうけれど

 

 

今目の前にあるものは

明日にでも終わってしまいそうなくらい

ちっぽけで世界的な広がりの欠落した文字の羅列でしかない.

 

 

足るを知ることを究極の美徳としながらも

欲することのできないことに悩んでいる様は

 

矛盾に満ち溢れた滑稽な姿に思われる.

 

 

 

 

けれど

そうした自己矛盾を横目に

満ちるとは何かを考えていたい

 

 

特別な1日と位置付けて

食欲を存分に満たした今日という日に

 

これ以上

何に欲を向ければ良いのか分からなくなってしまった折に

 

 

様々な事柄を試しながら

満たしてくれるものを求め続けよう

 

小さな小さな欲求を

日々拾い集めてしっかりと

袋にしまうことを忘れぬよう.

 

 

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