権力と想像力と講習会

今日は殆ど1日を

とある職業資格のための講習会に費やした.

 

しかし印象的だったのは

 

その講習の内容でも

往路で経験した梅田の通勤ラッシュでも

会場に人が集まるという事実の拭い去れない非現実性でもなくて

 

 

ずっとずっと喉元まで出かかっていてむず痒かった

ある小説の一説だった

 

 

想像力が権力を奪う - 村上龍69 sixty nine

 

 

この言葉が不意に頭に引っかかって

それでもなかなか出てこなくて

 

手繰り寄せては失意に沈んでいた

 

 

丸一日の講習会

まるで高校生のように

1日中授業を受けていたから

 

思索が遊離するあの感覚を

久々に味わっていたのだ.

 

 

まるで輪郭を持たない

こんなフレーズがあったような

という思いつきに始まり

 

 

それが村上龍の『69 sixty nine』の一節だと気がついたことで

 

"権力"が入ると

なんだかしっくりくる気がすると思い至り

 

"創造力"を"想像力"へと訂正した結果

 

何かしら権力と想像力が相互作用する様を描いたフレーズであろうと確信した.

 

 

引っ付けても分解しても重ね合わせても

一向にこれという解を見つけられないまま

 

自宅に辿り着き

 

スマートフォンに正解を学んだ.

 

 

 

 

この逡巡が僕に印象を残しているのは

あの遊離感に感動したからでも

この台詞の美しさに魅入られたからでもない

 

 

唯々シンプルに

なぜこのフレーズなのだろうという想い.

 

 

僕がこの作品を読んだのは

全くごく最近というわけでもない

 

それはどこまで行っても

時間の概念に付随することなく

過ぎ去ってしまったどこか1日でしかない

 

 

過去に読んだ作品の印象も相まって

期待して読み進めては実際に

特別な気分に浸っていた記憶があるとはいえ

それから何度も読み返したわけでもない.

 

 

 

それが何故

今日という1日の

長々とした講習会の最中に

思い出されるに至ったのだろうか.

 

 

 

印象的なフレーズだから

何処か心に残っていたものではあるのだろう

 

 

カニズムはわかる.

然しその蓋然性がわからない.

 

 

 

69 sixty nine

#高校生

#学生闘争

#昭和

#港町

#青春

#音楽

#友情

#自己探究

 

 

思いつく限り

関連の可能性を並べてみたけれど

 

特に引っかかるものもない.

 

 

 

不思議なものだ

 

 

読書の記憶

世界の記憶

 

何が故に呼び覚まされ

それは僕にどのような変化を残していったのか

或いは残していかなかったのか

 

 

 

フィクションとともに

たくさんの世界を行き来して

 

その幻影に時に影響されながら

 

僕らはこの世界線を生きている.

 

 

 

 

そうやって信じてみれば

ほんの少しだけ

人生がより素敵なものに思えるのかもしれない.

 

 

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