書くために書く
なんの目的もなく.
なんの含みもなく.
そんな行為も自分の心を宥めてくれるのではないかと、
徹頭徹尾阿呆なことを書いてみようと思う。
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僕が月に住むようになって最初に思ったのは、
「コタツが欲しい」ということだった。
考えてみれば当然である。
宇宙とは、暗く、寒いところなのだ。
地球にいた頃は、分厚い大気圏によってわからなかったのだけれど。
なぜ僕が月で暮らし始めたかというと、
サラリーマンという職業に、ほとほと嫌気がさしたからである。
仕事、給料、規則、時間、人間関係 et cetera, et cetera
何もかもが、まるで8月の蚊たちのように、鬱陶しくて仕方がなかった。
「まさか月にまで行くこともないんじゃないか」
同僚は隣のデスクから言った。
真っ当な指摘だと思う。
きっと僕は耐えるべきだったのだろう。
「まさか月にまで行くことなんてない」
僕も今ではそう思う。
でも、他に行くところも特に思いつけなかったのだから、どちらにせよ僕はここに居たのだろう。
僕はもう一度、電気コタツに想いを馳せた。
籠が載っている。
みかんが3つ入っている。
食べるか、食べないか
食べる.
きっと3つとも全部食べる。