Special One

一番恐れていることは、

 

自分がSpecial Oneではないと気がつくこと。

   Special Oneではないと認めること。

   Special Oneを夢見てるだけ。求めていないのだと語ること。

 

小さい時から、(人は誰しもそうだと思うけれど)Special Oneに憧れてた。

地球のために戦うヒーローとか、魔法界を守る魔法使いとか、どんな謎でも解き明かす探偵とか、あるいは誰よりも華麗にピッチを駆け回るファンタジスタや、己を貫く日本のエースに。

 

これは憧れ。

誰しもなりたいと思う姿があって、純粋にそれを追求する少年時代がある。

 

彼らみたいに飛べると思うから、彼らみたいにかっこよく敵を倒せると思うから、思いたいから、ヒーローごっこに夢中になる。

彼らみたいに声援を浴びてみたいから、サッカークラブの門を叩く。

 

自分はずっと変わっていない。

 

この人がすごいと思うから、その口調を、その歩き方を、その振る舞いを真似してみる。

この人みたいになりたいと思ってしまうから。

 

人は真似をしながら成長するものなのだと思う。

動物的本能。

赤ちゃんは親の真似をして育ち、僕らは誰かの真似をして成長する。

 

でも、だんだんと”成れる”ということに自信を持てなくなってきて、

地球すら守れるようになると思っていた頃から、今では自分が憧れた隣の人の生き方を真似できるかすら自信が持てない。

 

無鉄砲さが身を潜め、現実と臆病が心を覆う。

 

負けたくないから戦わない

臆病な自分

 

Special Oneでありたいと、幾ら言い放ったところで、それを求めている自分は本当に存在しているのだろうか。

 

誰かみたいになりたいと思った時、そのなりたいに必要な、自己変革への勇気は湧いてこない。

 

動機は外からやってくると思っている。

 

きっとこうして、多くの人がSpecial Oneたる事を諦めている。

 

自分に向き合いきれないから。

 

幼い頃は、何にでも成れると思っていたのに。

 

 

戦わなくなったのは、いつからだ。

戦い方を忘れてしまった。

感情の滾らせ方も、マニュアルでもない限り思い出せそうにない。

 

原動力はどこにある。

どれだけ美しい景色を眺めたとて見つからない。

 

内側を、深く深く、暗闇の中へと、落ち行ってこそ、何かを見つけられる。

 

暗闇に踏み入る勇気があるか。

臆病な自分をやっつけられるか。

悪から人々を守る、正義のヒーローみたいに。

 

"To be"

 

人はひとりでは戦えないらしい。

 

ヒーローにも、共に戦う仲間が必要だ。

 

Special Oneでありたいけど、仲間が自分を置いていってしまうんじゃないかって、恐怖が忍び込んでくる。

 

臆病で、弱い。

 

どうなろうか。

 

To be ___

 

自分の弱さと臆病さにひとつ気がつけたこと。

それを言葉にできただけでも、ひとつ大きな一歩であると信じ、令和に踏み入る。