もしもこの猫が去勢されているのだとしたら

秋だなぁ

 

朝起きると寒いと感じ

夜の涼しさに不安を覚える

 

秋だと思う.

 

 

今日の昼の散歩でも

長ズボンを履いていなければ

きっと寒いと思ったことだろう.

 

 

そういえば公園を通りかかったとき

そこにはたくさんの子供たちがいて

笑い声を立てながら

走り回ったり土を掘ったりボールを投げたり

思い思いにはしゃいでいた

 

楽しいを表すサムネのような光景だった.

 

 

倒れそうになりながら走って

不自然なほどに集中して

しかし笑顔を絶やさない彼ら

 

 

通り過ぎてしまうまでの間

なんとなくその光景を眺めていたら

なんだかふと

彼らは今まさに

体の動かし方を学んでいるのだと感じた.

 

 

だとしたら

それは当然楽しいだろう

 

彼らが行うひとつひとつの挙動や

彼らが見つけるひとつひとつの映像は

彼らにとって新しい経験であり

そして新しい学びである

 

そしてそのひとつひとつの経験が

毎秒毎秒

彼らができることを増やす

 

呼吸する毎に次々と

色々なことができるようになる

 

そんな時間を過ごしているのなら

どうしたって楽しいだろう.

 

 

何かをできるようになることは

心躍る瞬間だから.

 

 

しかし年齢を重ねるにつれ

社会の機構に入り込んでいくにつれ

 

新しい経験をできる機会は

どんどんどんどん減っていく.

 

少なくとも

自分はそう思う.

 

 

そして自分が望み選ばない限り

新しい物事をできるようになることはできない.

 

 

 

そんなことを考えながら

帰り道の路地に入ると

 

一匹の猫が寝転がっていた.

 

よく見かける雑種の猫だ. 

 

いつも出かける僕のことを

ただただじっと眺めている猫

 

毎日のように目を合わせているけれど

まだ一度も喋ったことがない.

 

 

この間少し調べてみたところ

 

日本では

飼い猫の去勢が推奨されているらしい

 

去勢された飼い猫は

しなかった猫に比べると

明らかに長生きするという

研究結果があるようだ.

 

 

もしも去勢されているのだとしたら

 

毎日毎日

同じところで寝転がっているこの猫は

一体何を目的に

一体何を楽しみに

長生きをしているというのだろう.

 

もちろん

人間以外の全ての生物にとって

種の保存こそが一生の最大目的だなどという

人間中心的な考え方を押し付けるのは

 

彼の猫権を侵害する行為であり

慎むべきことだ思うけれど

 

ただそれにしても

他の猫と遊んでいるようにも見えず

食事と日向ぼっこで日々を過ごしているようなこの猫にとって

 

猫生とは

一体何を意味するのだろうかと

頭を絞り考えを尽くしてみたところで

どうしても納得できる答えは見つからず

 

人間は進化の過程において

余裕然として暮らす猫の高尚な考えを

共有できるだけの感性を

失ってしまったのではないかとさえ思えてくるのである.

 

 

そんなことがあった後

今日はゆっくり本でも読もうと思い

アーネスト・ヘミングウェイ

『日はまだ昇る』を手に取った.

 

大学時代は英文科に所属していたから

彼は当然必読の作家であり

いくつかの代表的な作品を読んできたけれど

 

何故だろう

彼の作品から発せられていると

感じないではいられないのは

なんとも言えない疲れのようなものだった.

 

老人と海』のような作品だけではなく

武器よさらば』のようなラブロマンスでも

なんだかいつも

どうにもできない疲れのようなものが

表現されているように思えてならない.

 

彼の傑作の数々にこんなことを感じているのは

自分だけなのかもしれないけれど.

 

 

ふと帯の作者紹介を見てみると

彼は猟銃で自殺したらしい

 

たとえ自分がどのような死に方をするとしても

猟銃での自殺とは

きっと何ひとつ結びつくことがないだろうな.

 

 

1秒毎に新しいことを学び

楽しい経験に溢れている子供たちがいれば

 

去勢された長い一生を

寝転んで暮らす猫もいて

 

数多くの名作をこの世に残しながら

猟銃で自殺する作家もいる.

 

 

 

この9月の1ヶ月を振り返ってみれば

 

いつものように仕事をしていて

関わる人たちのおかげで

学ぶことも確かにあったと思うけれど

 

では自分が新しい何かをできるようになり

その体験を楽しめていたかと考えると

 

どうしても

自信を持ってはいとは言えない.

 

新たなステージで働くなかで

やらなければならないことに翻弄されて

肉体的に疲れていることも多くて

 

構えているような時間が長かった.

 

社会人になってからもう半年

 

あれよという間にここまで過ごしてしまったけれど

 

どれだけのことができただろうか

どれだけのことができるようになっただろうか

どれだけのことを楽しめているのだろうか

 

まずはこれからの半年

これまでの半年よりも楽しめるように

 

自分の手で

自分の時間を支配する感覚を

少しずつ掴んでいきたい

 

自分にとって

何を意味する時間なのかを

いつも意識していられるように

自分を振り返る時間を大切にしたい.

 

この半年はどうしても

忙しさにかまけてサボりがちになっていたから

 

日記やブログや散歩など

 

これからを見据えながら

言葉を形作る時間を増やす.

 

 

そうやって

秋も深まるこの10月を始めよう.

 

 

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9月は全然ブログを書くことがなかったけれど

10月の始まりということで

なんとかひと月をまとめてみたい.