青春の残滓

珍しく賑やかな数日間を過ごしていたから

ふといつもの日々に戻ってみると

 

そこはかとなく

間の抜けたような感じがしてしまって

 

限りある日々を持て余しているような気持ちがする

 

けれどこれが日常だからこそ

全て細かいところまで1コマずつ

丁寧に組み上げ直していかなければならない.

 

 

一度去ったはずのコミュニティに

立場は変われど

少しの間関わることができたこの数日間は

 

今思えばあっという間の時間だったけれど

まるで過去をもう一度生きているかのような

幸せな時間を過ごしていた.

 

 

全ての物事には終わりがあり

その物事が充実したものであればあるほど

 

その時間を再び生きられるのであれば

人はどんな対価でも

一切の躊躇いなく払おうとすることだろう

 

 

しかしそれは夢幻に過ぎず

僕らにできることといえば

何かにつけて過去に想いを馳せるたびに

 

少しずつ少しずつ

それらを失いながらも美化していくことだけ.

 

 

それでもこの数日間の僕の生活は

まるで失った時間に再び生きているような心地がしたから

 

そんな時間を共に歩んでくれた全ての人たちに

感謝しなければならないだろうな.

 

 

繰り広げられる耳に親しんだ会話の数々

幾度となく通った儀式

当然のように見慣れていた人たちの顔

 

そのどれもが

たしかに僕がいたはずの過去を重ねさせるには

どこをとっても十分すぎるほどだった.

 

しかしふとしたことから

いつの間にかまるで自分がその一員であるかのように想い振る舞っている事実に気がついて

 

それは事実ではないという事実に思い至って

 

もう2度と得られないものの尊さを

改めて思い知らされもした.

 

ただ 

そこにいる人たちと話す中で

 

慕ってくれる人たちや

僕が存在した過去を 

肯定してくれる人たちがいて

 

もう2度は追体験することのできない過去が

1年の時を超えて

曇りなく報われたような気がしたから

 

過去に想いを残すことなく

 

ただ恩義を胸に宿して

 

前に進んで行かねばと思った.

 

 

時の魔法は一度きり

 

ひとつしかない過去から目を背け

無数の粒子蠢く先へ

 

ただただ去るのみ.

 

 

 

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