マスクと下着

今日は数日振りに外に出て人と会った

 

1日中誰かと対面で過ごしていたからなのか

それとも電車に乗り人々の中を歩いたからなのかはわからないけれど

 

とても疲れてしまった

 

 

気がつかないうちに僕らは

人と会うことや人の群れの中に過ごすことに

順応しているのだということが実感された.

 

 

こうして幾日かごとに外出し

人に会っているような状態では

その耐性ともいうべきものが失われる早さに

慣れることが追いついていないように感じられる.

 

 

はぁ

 

とても疲れてしまった.

 

 

 

駅の本屋の入り口に

「マスク未着用の方の入店お断り」

という張り紙を見つけた

 

 

世の中の変化を

ひしひしと感じさせる一文だった

 

 

どうやら今では

衣服を着ていない人が道中で尋問を受けるように

マスクを着用していない人は社会的な制限を受ける対象であるとみなされる世の中であるようだ

 

 

マスクが下着と同義の世界

 

 

隠すことが是とされるのは

隠されていないことが相手を不快にさせるから

 

 

 

口も鼻も隠し通さなければならない社会

 

 

隠し通すことに価値が認められる社会

 

 

 

この状況が落ち着いたなら

中国の医師団が公開した動画のように

人々が嬉々としてマスクを脱ぎ捨てる瞬間がやってくるのだろうか.

 

 

少なくとも10年後或いはもっと後にでも

何も知らない子供たちに対して

 

「僕らは鼻も口も隠す必要のある世界に生きていたんだよ。まさしく今君がアンダーウェアを見に纏っているようにね。」

 

なんて話して聞かせたとしたら

きっと彼らは理解し得ない違いを処理しようとするときによくある上面の同意を示しながら

心の底では過去の人々の行動はなんて意味不明なんだろうと

不思議に思うことに違いない.

 

 

今日はとても疲れてしまった.

 

 

腹も背中も腰も太ももも鼻や口まで

隠さなければならないものが多過ぎる

見渡してみて

隠されているものが多過ぎる.

 

 

 

とっても疲れてしまった

 

 

願わくば

鼻も口も露出できる世界を

不快を生み出すものを出来るだけ保有しなくて良い世界を.

 

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